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女弟子(有吉佐和子 著、町春草 装幀)
前衛華道の寵児として脚光をあびる美男の家元・衛藤一との不倫の愛に溺れる女弟子・元村八重子、森テルミ、矢代たつ子、そして衛藤の妻・光枝。
一人の男の愛を奪い合いながら、内弟子として暮らしを共にするなかで、四人の女は次第に不思議な連帯感のようなもので結ばれてゆく。
芸の世界に生きる女性たちの心の綾を克明に描き出す、有吉佐和子が得意とした「芸道もの」の初期作品。
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華道関係の雑誌記者が、幾度か私たちの家に先生を訪問した後で、私にこういう感想を述べたことがあります。
「妙な家ですねぇ。実に妙な家だ。妖気がただよっているとでもいうのかなぁ。衛藤一に、そういう妙な妖気があるんでしょうかねぇ。外で彼に会うと、ただシャープな才能しか感じないのに、あの家の中で彼に会うと、電気を消したら彼の躰から蒼白い光が射してくるのではないかと思うようですよ」(略)
妙な家。妖気。それは確かにそうかもしれません。私自身も、大変な生活が始まったものだと我ながら呆れている間に、一年が過ぎていました。先生を中心に、森テルミと光枝さんと私という三人の女の共同生活に加えて、矢代たつ子はほとんど毎日のようにこの家にあらわれるのです。
(「本文」より)
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絶版または版元品切れ
ハードカバー ダストカバー 帯あり
□publisher:中央公論社
□date of issue:1961年 初版
□size:19.8x13.8cm
□page:248
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
元パラフィン破れ
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
一人の男の愛を奪い合いながら、内弟子として暮らしを共にするなかで、四人の女は次第に不思議な連帯感のようなもので結ばれてゆく。
芸の世界に生きる女性たちの心の綾を克明に描き出す、有吉佐和子が得意とした「芸道もの」の初期作品。
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華道関係の雑誌記者が、幾度か私たちの家に先生を訪問した後で、私にこういう感想を述べたことがあります。
「妙な家ですねぇ。実に妙な家だ。妖気がただよっているとでもいうのかなぁ。衛藤一に、そういう妙な妖気があるんでしょうかねぇ。外で彼に会うと、ただシャープな才能しか感じないのに、あの家の中で彼に会うと、電気を消したら彼の躰から蒼白い光が射してくるのではないかと思うようですよ」(略)
妙な家。妖気。それは確かにそうかもしれません。私自身も、大変な生活が始まったものだと我ながら呆れている間に、一年が過ぎていました。先生を中心に、森テルミと光枝さんと私という三人の女の共同生活に加えて、矢代たつ子はほとんど毎日のようにこの家にあらわれるのです。
(「本文」より)
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絶版または版元品切れ
ハードカバー ダストカバー 帯あり
□publisher:中央公論社
□date of issue:1961年 初版
□size:19.8x13.8cm
□page:248
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
元パラフィン破れ
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