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王様の背中(内田百閒 著)- 旺文社文庫 全作品集
百閒の遺志に従い「旧仮名遣い」を用いて、昭和54年から59年まで刊行された旺文社文庫〈特別企画〉全作品集より。
百鬼園先生唯一の創作童話集。序文に「この本のお話には、教訓はなんにも含まれて居りませんから、皆さんは安心して読んで下さい」と記されている。ゲーテの叙事詩としても知られるドイツの動物寓話を翻案した『狐の裁判』を併載。
百閒が「風船画伯」と名付け愛した、漂白の版画家・谷中安規の作品が全編を彩っており、幻想的でエキゾティックなその木版画の世界を堪能できる。
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また暫く行くと、今度は道端の小川に、大きな鮒が一匹浮いて居りました。
水の日向になつたところを、浅くおよいでゐるのです。しきりに尻尾を右左に曲げてゐる様子が、どこか痒いのではないかと、王様には思はれました。
『もし魚の背中が痒くなつたら、どうするのだらう』
そう思つたら、王様は、背中だけでなく、からだぢゆう、どこもかしこも、痒くて堪らないやうな、へんな気持になつて、そこで又二三度きりきり舞ひをした挙句、今度は飛ぶやうな勢いで駆け出しました。
(「王様の背中」より)
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◎Contents
王様の背中
王様の背中
影法師
狸の勘違ひ
お爺さんの玩具
桃太郎
かくれんぼ
三本足の獣
狼の魂
お婆さんの引越
狐の裁判
「王様の背中」雑記
カバー装幀:田村義也
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:旺文社文庫
□date of issue:1984年 初版
□size:15x11cm
□page:217
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
扉ページ折れ目 綴じゆるみ 三方薄ヤケ
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
百鬼園先生唯一の創作童話集。序文に「この本のお話には、教訓はなんにも含まれて居りませんから、皆さんは安心して読んで下さい」と記されている。ゲーテの叙事詩としても知られるドイツの動物寓話を翻案した『狐の裁判』を併載。
百閒が「風船画伯」と名付け愛した、漂白の版画家・谷中安規の作品が全編を彩っており、幻想的でエキゾティックなその木版画の世界を堪能できる。
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また暫く行くと、今度は道端の小川に、大きな鮒が一匹浮いて居りました。
水の日向になつたところを、浅くおよいでゐるのです。しきりに尻尾を右左に曲げてゐる様子が、どこか痒いのではないかと、王様には思はれました。
『もし魚の背中が痒くなつたら、どうするのだらう』
そう思つたら、王様は、背中だけでなく、からだぢゆう、どこもかしこも、痒くて堪らないやうな、へんな気持になつて、そこで又二三度きりきり舞ひをした挙句、今度は飛ぶやうな勢いで駆け出しました。
(「王様の背中」より)
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◎Contents
王様の背中
王様の背中
影法師
狸の勘違ひ
お爺さんの玩具
桃太郎
かくれんぼ
三本足の獣
狼の魂
お婆さんの引越
狐の裁判
「王様の背中」雑記
カバー装幀:田村義也
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:旺文社文庫
□date of issue:1984年 初版
□size:15x11cm
□page:217
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
扉ページ折れ目 綴じゆるみ 三方薄ヤケ
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