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三等旅行記(林芙美子 著)

三等旅行記(林芙美子 著)
1931年11月、林芙美子はシベリア経由でヨーロッパへ渡り、パリ・ロンドン・ナポリに滞在し、1932年6月に帰国。翌年に、旅先から雑誌社へ送り続けた紀行文をまとめた『三等旅行記』(改造社)を刊行した。本書は、戦後まもなく刊行した新装版。

満州事変勃発直後の不穏な情勢をものともせず、単身シベリア鉄道三等列車に乗り込んだ著者は、半年間におよぶ欧州生活を満喫する。人を介してジャン・コクトー、詩人フランシス・カルコ、プロレタリア作家アンリ・プーライユらの知己も得ている。

片言のあやしい外国語をあやつりながら、好奇心に突き動かされて街を歩き回り、食事や買い物、映画を楽しむ様子を伝えるはずむような文章が、心地よいリズムを刻んでいる。
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私は斷髪して四年あまりになるけれど、パリーへ来て初めて頭が輕くなつた。日本の床屋へ行くと、まづ横にジヤキジヤキ剪つてくれるのだけど、パリーのは縱に髪を取つて行くので、さすがに五右衛門のやうだつた私の髪の型だけは、パンドラの箱の主人公ルイズブルツクスみたいに、ピツタリ頭にくつついて、一寸ばかり見良くなつた。
パリーの床屋さんは廻轉椅子に私を腰掛けさして、私をくるくる廻しながら髪を刈るのだ、それは、まるで繪描きがモデル臺を廻しているのと同じになる。

(「皆知つてるよ」より)
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◎Contents
シベリヤの三等列車
パリーまで晴天
下駄で歩いたパリー
フランスの田舎
パリー案内
パリー片言
ひとり旅の記
屋根裏三昧
三等船室雜話
牡蠣を食ふ話
一瞬の歐州の旅
ナポリ小景
ソヴエートの冬
マツチと酒に寄せて
パリーを歩るく
皆知つてるよ
或大學生の記憶
マルセイユより横濱までの勘定書
ハルビン散歩
秋の杭州と蘇州

絶版または版元品切れ
ソフトカバー
□publisher:方向社
□date of issue:1948年 初版
□size:18.5x12.5cm
□page:231
□condition:経年なり・普通 カバーヤケスレ汚れ傷み
三方ヤケ 経年シミ

» 随筆・エッセイ
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