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待つ(森田たま 著)

待つ(森田たま 著)
森田たまは、雑誌『少女世界』への投稿が認められ、10代の時に札幌から上京し、少女小説でデビュー。戦前戦後にわたって数多くの随筆を著し、女性エッセイストの先駆けとなった。

昭和30年代に刊行された20冊目の随筆集。死を「待つ」ことしかできなかった戦時下に見た梅の花の美しさ、愛用の「らふそくたて」のことなど、熟達の筆がますます冴える。

「繪のある随筆 1・2」に添えられた著者自身による挿絵が、可愛らしく味わい深い。かすりの着物柄をあしらった瀟洒な装幀も、自ら手がけている。
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ある晩、海軍少尉の長男が、久留米がすりの着流しで、新妻をしたがへてやつてきて、散歩にいきませうと誘つた。昭和二十年三月末で、もう日本に勝味はなかつた。
私たちが待つていたのは、ただ、死だけであつた。親子けふだいはその思ひを胸にひそめて、笑ひさざめきながら田舍道を散歩した。崖の下の田圃のまん中に大きな梅の木が一本、からだぢゆうに花をつけて、月光にてらされてゐた。白い花びらの一つ一つが、プラチナのやうに光つてゐた。息をのむほど美しかつた。
(「待つ」より)
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◎Contents
待つ
 待つ
 はまゆふ
 流行
 約束
 柳女さんと私
 さいはての酪農基地
 亥の子絣
繪のある随筆 1
 ザリガニの季節
 私のおもちや
 山荘にて
 アリベデルチ・ローマ
 らふそくたて
繪のある随筆 1
 坂
 黄金への道
 時は信じない
 うまくいくこと
 アムステルダムの思ひ出 ほか

絶版または版元品切れ
ハードカバー 函
□publisher:文藝春秋新社
□date of issue:1959年 初版
□size:19.8x13.7cm
□page:269
□condition:経年なり・普通 函ヤケスレ汚れ傷み
本体 表紙綴じ部分破れ 経年シミ

» 随筆・エッセイ
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