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目まいのする散歩(武田泰淳 編、司修 装幀)
武田泰淳が生前最後に刊行した随筆集。日々の散歩のなかに、過去から現在までのできごとが去来し、生の本質と意味に思いを巡らします。司修による幻想的な装画が、作品世界を暗示しています。野間文芸賞受賞作。
本書は、妻である武田百合子の口述筆記によるもので、作中にも夫婦の印象的なやりとりがしばしば記されています。
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どこを散歩しても、どこのベンチに腰かけても、病後の私は笑ったような、笑わないような顔つきをしている。意思表示をするため「ウフフ」と笑い声に似た、はっきりしない声を出す癖がついてしまった。(中略)
たとえば「あたしも今に死ぬのね。イヤだなぁ。いつ死ぬのかしら」と、死にそうもない顔つきで女房に問いかけられるさいは、笑ったような笑わないような表情で「ウフフ」と答えるのが、目下のところ一番無難である。
(「笑い男の散歩」より)
◎収録作:目まいのする散歩、笑い男の散歩、貯金のある散歩、あぶない散歩、いりみだれた散歩、鬼姫の散歩、船の散歩、安全な散歩?
絶版または版元品切れ
ハードカバー ハトロンカバー 函
□publisher:中央公論社
□date of issue:1976年 再版(1976年 初版)
□size:20.4x14cm
□page: 271
□condition:経年なり・普通 函ヤケスレ汚れ傷み ハトロンカバー破れ
» 随筆・エッセイ
https://narda.thebase.in/categories/1326663
本書は、妻である武田百合子の口述筆記によるもので、作中にも夫婦の印象的なやりとりがしばしば記されています。
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どこを散歩しても、どこのベンチに腰かけても、病後の私は笑ったような、笑わないような顔つきをしている。意思表示をするため「ウフフ」と笑い声に似た、はっきりしない声を出す癖がついてしまった。(中略)
たとえば「あたしも今に死ぬのね。イヤだなぁ。いつ死ぬのかしら」と、死にそうもない顔つきで女房に問いかけられるさいは、笑ったような笑わないような表情で「ウフフ」と答えるのが、目下のところ一番無難である。
(「笑い男の散歩」より)
◎収録作:目まいのする散歩、笑い男の散歩、貯金のある散歩、あぶない散歩、いりみだれた散歩、鬼姫の散歩、船の散歩、安全な散歩?
絶版または版元品切れ
ハードカバー ハトロンカバー 函
□publisher:中央公論社
□date of issue:1976年 再版(1976年 初版)
□size:20.4x14cm
□page: 271
□condition:経年なり・普通 函ヤケスレ汚れ傷み ハトロンカバー破れ
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