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随筆 東京(奥野信太郎 著)

随筆 東京(奥野信太郎 著)
中国文学研究者にして、硬軟雅俗とり混ぜた名随筆家として知られた、奥野信太郎。テレビ黎明期には、タレント教授の先駆けとして人気を博した。

本書は、戦後間もない昭和26年に刊行された随筆集。東京に生まれ育ち、浅草オペラに耽溺し、永井荷風に心酔した著者が、戦前戦後を自在に行き来しながら、文化、風俗、市井の暮らしの光景を活写する。

装幀、岡村夫二。装画、木村壮八。カバーをはずした本体の佇まいも、味わい深い。
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東京は震災と戦禍の二つの劫火のため、まつたく舊時の樣相を一變してしまつた。わたくし個人についていふならば、震災によつて中學時代を過した浅草の舊住が焼失し、戦禍によつてそもそもの誕生の日から小學校時代までを過ごした麹町の地が灰燼に歸し、またもはやめづらしいものとして殘つてゐた母の生れた市ヶ谷見付内の長屋門のある旗本屋敷も、永遠に消え去つてしまつた。
随筆東京の一書を世におくるに際して、この東京といふことばが、けつして舊時の東京といふことばの響きをもたないことをしみじみ感じないわけにはいかない。それは思つても悲しいことである。文中多くは回顧的な文字を避けて、現代東京の混亂と無秩序とをありのままに傳へたが、それはわたくしとしては意識的にやつたことであり、一見平静を装ひながらその心底には、いふにいはれない悲痛の氣もちを蔵してゐるのである。

(「あとがき」より)
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◎Contents
場末風流
 洲崎から亀戸へ
 今戸から千住へ
 池袋から板橋へ
 穴守から川崎へ
酒たのし宿の口笛
道玄坂附近
東京暮色
土蔵のなか
縁日
ミルクホール
容姿公認美人など
ことばは生きてゐる
春淺し
バラックと日本人
草枕旅にしあれば
人參いろの靴下
たづね人
夫婦の年輪
書物と女
涙こそよく語れ
文豪の遺産
童心と老婆心
社交小説その他
猥談とは
烟よ烟
空室修繕
勿談國事
好色本散策
地獄繪
中國の生活樣式
季節のオルゴール
辻講釋
好色文學談義

絶版または版元品切れ
ハードカバー ダストカバー
□publisher:東和社
□date of issue:1951年 初版
□size:18.5x13.2cm
□page:439
□condition:経年なり・可 カバーヤケスレ汚れ傷み破れ
背ヤケ退色 本体ヤケ強 経年シミ

» 随筆・エッセイ
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