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蟲魚生態物語(鈴木哲太郎 著)

蟲魚生態物語(鈴木哲太郎 著)
鈴木哲太郎は、子供の時から無類の動物好きで、大正7年から約20年間、一介の警察官として勤務する傍ら、雑誌『動物文学』などに随筆を寄せ続けた。昭和14年にそれらの原稿を集めた『動物を語る』を刊行。本書は、それに続く随筆集。

太平洋戦争の開戦迫る昭和16年3月に刊行されたものだが、そのような不穏な情勢下であることはみじんも感じられない、しごく呑気な時間が全編に流れている。

ある時は一人で、ある時は我が子をつれながら郊外散歩を楽しみ、虫と魚を中心に、身の回りの動物について思いを巡らし、神話などにも精通した該博な知識を披瀝しつつ、滋味に富んだ文章を綴っている。

「ナメクジはワープする」という俗説をネット上で時折目にするが、本書には、それに類する不可思議な体験談が記されている。
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もう三十年も前の話になるが、私は世にも怪しいものを見た。(略)
蛞蝓は何かの必要からかそれとも氣まぐれからか、水のいつぱいになつてゐる小川の向ふへ行かうとして、流れの為めにそれが出來ぬので、何か秘密の法をもつて転身を行って居たのであつた。確実なる記憶はないが、それから約一時間ばかりしてこつち側に居た蛞蝓は、完全に向ふ側の蛭草に移つてしまつたことをおぼえている。

(「蛞蝓の怪」より)
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◎Contents
第一章 水の中の世界
 鯉
 小さな生きもの
 游漁
 地獄繪巻
 青鮫
 アラカブの話
 奥州土産話
 ざりがにと食用蛙
 貝類など
 洪水と魚族
 魚族に關する談片
 名人達人
 魚の溺死
第二章 蟲類譜
 蟲類譜
 蟻の生活
 蜘蛛
 ばつたが鳴く
 こほろぎ
 水に落ちた昆蟲
 野にて
第三章 三すくみ物語
 蟇
 蛇
 蛞蝓の話
 蛞蝓の怪
第四章 龜と山椒魚
 亀の話
 亀のお産
 亀を見る
 山椒魚の話
第五章 動物食味随筆
 蜂の子の雑炊
 鼠の肉
 蚊の眼玉の吸物
第六章 動物の闘争
 鶴とペリカン
 大蛇と猛犬
 蜂と蜘蛛
第七章 動物と人間
 生と死と
 私と犬たち
 野良犬と野良猫 ほか

絶版または版元品切れ
ソフトカバー 
□publisher:新興音樂出版社
□date of issue:1942年 4刷(1941年 初版)
□size:18.2x12.8cm
□page:439
□condition:経年なり・可 カバーヤケスレ汚れ傷み
背ヤケ退色 本体ヤケ強 綴じ割れ 経年シミ

» 随筆・エッセイ
https://narda.thebase.in/categories/1326663
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