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随筆集 常夏(中里恒子 著、仲田菊代 装画)

随筆集 常夏(中里恒子 著、仲田菊代 装画)
1939年に女性初の芥川賞作家となった中里恒子が、戦時中に刊行した第一随筆集。タイトルの「常夏」は、著者が愛した花「なでしこ」の古名から取られている。

文壇デビューから10年近くにわたって書かれた随筆を集めたものだが、著者ならではの美意識がすでに色濃く感じられ、序文に〈自分の素顔を鏡に写してみたような感じがする〉と記されている。

巻頭に置かれた「含蕊集」には、著者が〈随筆らしい随筆〉と考える、小説とも関連の深い15篇が収められており、読みごたえがある。
装幀、著者自装。装画、仲田菊代。
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水族館と言へば、もう何年ぐらゐ前であらうかしら。たつた一度私も淺草ではいつたことがある。そのとき、魚がゐたかゐなかつたか、もう忘れてしまつたけれど、若い踊り子たちの痩せた踊りを少し見た。
逗子にも以前は浪子不動へいく海邊の山ぎはに、まるで明治時代の村役場かなんかのやうに、古ぼけた西洋館づくりの水族館があつたけれど、暫く缺損つづきで開けたり閉めたりしてゐるうちに、たうとう跡方もなくつぶれてしまつた。

(「水族館」より)
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◎Contents
▶︎含蕊集
 他處の花
 水族館
 老婦人
 蛇嫌ひ・毛蟲嫌ひ
 手紙
▶︎覺書
 うらおもて
 胡蝶
 眉
 井戸の中にて
 すみれ
 美しい眼
▶︎問いに答へて
 美しい生活
 結婚記念日
 私の文學閲歴
 お返辭
 映畫所感
▶︎生活に寄せて
 多めく
 秩序
 虚榮
 関西の婦人
 事變下の日常性 ほか
▶︎海邊の日記
 夏から秋へ移る頃の海
 波と風
 體操
 防空訓練 ほか

絶版または版元品切れ
ハードカバー 函
□publisher:全國書房
□date of issue:1942年初版
□size: 19x13.3cm
□page:291
□condition:経年なり・普通 函ヤケスレ汚れ傷み水濡れシミ
本体 三方ヤケ 経年シミ 表裏見返しに持ち主署名

» 随筆・エッセイ
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