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松尾真由美詩集 - 現代詩文庫195

松尾真由美詩集 - 現代詩文庫195
今日の代表的詩人を網羅し、既刊詩集、未完詩篇、詩論、エッセイ、第三者による作品論・詩人論を収録した、思潮社・現代詩文庫より。

──詩を書くことが、人間の諸行為のなかで、身震いするほど根源的かつ本質的な営みであるということを、松尾真由美の作品は明確に指し示す。書くとは必死の行為である。(「水と柩と指先をめぐるあえかな旋律」笹井嗣夫より)
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あるいは記憶を作りかえ
削除と挿入の精度にこだわり
侵犯する過誤の映像
私の素手の
冷ややかな感触
戸惑いにたわむれ
白い画布に
楔を打ち
仕組まれた
ささやかな破綻
ここは
どこ?

(「いっそう睡りの薄片を」より)
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◎Contents
▶︎詩集〈燭花〉から
 水の囁きは果てない物語の始まりにきらめく
 恣意の揺らぎはあわい結晶だけをもとめる
 はるかな痕跡は綻びの記憶をたばねあわい祈りにたゆたう
 欠如の波動はやさしい幻影をたわめる
 抑揚の描線は羽ばたきを彩りやがてかすかな摂理へ
 やさしい蘇生は穿たれた喪失からひろがる
 開かれた扉は透明な幻を生みつづけて
 夢の密度はいつしか祈りへと放たれる
 そして戯れの指先はちいさな渦にまじわる
 あつい胚種はとどかない夢想にただよう
▶︎詩集〈密約─オブリガート〉全篇
 追記 晴れやかな不在に
 ゆらぐだけの夏の方法
 眠らない種子の経路
 あるいは終わらない問いへの告発
 いっそう睡りの薄片を
 いまだ咲かない零度の粒子
 なおも密接な声にゆらめく
 あわい流露の野の行方
 あやうげな区分の光度
 雨季に溺れるかすかな胚芽
▶︎詩集〈揺籃期─メッザ・ヴォーチェ〉から
 きららかな目覚めをもとめる過密な冬の
 瓦解への晴れやかな夜の註記
▶︎詩集〈彩管譜─コンチェルティーノ〉から
 翔
 憬
 仄
 腔
 薫
 恍
 隘
 焚
 媒
 湧
 痩
 季
 漂
 癒
 解
▶︎詩集〈睡濫〉から
 さざめき、漂流へと秘めやかに熱度は縺れる
 初夏、その他の辺地
 冬の櫂への果てない輝度
 放散のための蝕と蜜
▶︎詩集〈不完全協和音─コンソナーンツァ・インフェルペット〉から
 儚いもののあでやかな輝度をもとめて
  果てへのはじまりあるいは晶度を
  なおも狂れゆく塵の漂白
  ただゆるやかに夜の記録は波立つ
  霞に撒かれる小石の行方
 秘めやかな共振、もしくは招かれたあとの光度が水底をよりふかめる
  汐の彩色、しめやかな雨にながれる鍵と戸と窓
  旅の記憶、もしくは越境の硬度について
散文
 私的持論─回流・転換・消えゆくものへ
作品論・詩人論
 松尾真由美さんへの手紙(岩成達也)
 水と柩と指先をめぐるあえかな旋律(笹井嗣夫)
 地上の星よ(中村鐡太郎)
 松尾真由美というマテリアル(小島きみ子)
 かけがえのない「母」が方法を贈る。(田野倉康一)

ソフトカバー
□publisher:思潮社
□date of issue:2012年 初版
□size:19x12.5cm
□page:158
□condition:経年なり・普通 表紙スレ 開き癖折れ目

» 詩歌・その他
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