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戻り道・新方丈記(内田百閒 著、谷中安規 画)- 旺文社文庫 全作品集

戻り道・新方丈記(内田百閒 著、谷中安規 画)- 旺文社文庫 全作品集
百閒の遺志に従い「旧仮名遣い」を用いて、昭和54年から59年まで刊行された旺文社文庫〈特別企画〉全作品集より。

戦争もだんだん敗色が濃くなって暗く殺伐とした空気の漂う昭和19年の夏、風船画伯こと谷中安規の版画が入った、時節柄ぜいたくととも見える文集『戻り道』が刊行された。

それから10か月後、激しくなった空襲で百鬼園先生も焼け出され、生活日録『新方丈記』に綴られた掘立小屋生活が始まる。2作品を合わせ納めた百鬼園文集。(カバー裏解説文より)

『王様の背中』『居候匇々』などでも挿絵を担当した谷中安規は、戦後の困窮に耐えきれず餓死しており、百閒との名コンビも本書が最後となった。百閒はのちに『贋作吾輩は猫である』に風船画伯を登場させ、その飄々とした人柄を作中に描き出し、哀悼の意を表している。
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八月十七日金曜日。
昨夜初めてこほろぎを聞いた。二三日前の晩に木鈴蟲の声がした様であつたが確かでない。方方が焼野原になつたので今年は秋の蟲も少いであらう。
就褥して間もなく十一時半頃きな臭いにほひがするので心配した。小屋の炊事場に残火があつてもあぶないし、母屋から火を出されては小屋は大変である。暫らく様子を見たが何でもない。風の工合で大本営の書類を焼いてゐる煙が流れて来たのかも知れない。

(「新方丈記─餓鬼道日記」より)
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◎Contents
▶︎戻り道
 西日
 竿の音
 通り雨
 三五の桐
 羽織
 峯の狼
 近火
 蒸気喞筒
 小地震
 泉水艦隊
 煙の尾
 麦酒
 高瀬舟
 夕の雨
 戻り道
 残暑
 海賊大将軍
 村上流船行要術
 風流
 吸ひ殻
 通過列車
 初乗り
 夜汽車
 寝台車
 洋燈と毛布
 乗り遅れ
 その時分
 希夷公の認印
 初日の光
 オセツカヒ評釋
 寿命
 学生航空の揺籃
▶︎新方丈記
 灰塵
 土手の東雲
 仰願寺蠟燭
 餓鬼道日記
 椎の葉蔭
  黒大根
  三曲
  迎賓館
  木の葉便所
  夏の小袖
  奉幣使
  金蛾
  蚊遣火

「戻り道」「新方丈記」雑記
カバー:田村義也

絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:旺文社文庫
□date of issue:1982年 初版
□size:15x11cm
□page:223
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
三方薄ヤケ 小口シミ

» 随筆・エッセイ
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¥900

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