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一条の光・天井から降る哀しい音(耕治人 著)

一条の光・天井から降る哀しい音(耕治人 著)
長く不遇の人生を歩み、精神を病みながら、わが身を削るように私小説の研鑽を続け、晩年に至って「現代日本の老人文学が到達した一つの頂点を示す作品」(解説より)を世に送り出した耕治人の作品集。

読売文学賞を受賞した表題作「一条の光」、50年余年連れ添った老夫婦の終焉間近い生活を描く「そうかもしれない」ほか、哀感と浄福感のただよう全6篇を収録。
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家内はニコニコし、なにか喋っている。入れ歯がないせいもあって、なにを言っているのかわからない。(略)
このあいだにご婦人が何度か「この人は誰ですか」とか、「このかたがご主人ですよ」など言われたが、返事をしなかった。
何度目かに「ご主人ですよ」と言われたとき、「そうかもしれない」と低いが、はっきりした声でいった。
私は打たれたように黙った。

(「そうかもしれない」より)
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◎Contents
詩人に死が訪れるとき
この世に招かれてきた客
一条の光
天井から降る哀しい音
どんなご縁で
そうかもしれない

解説(川西政明)
作家案内(保昌正夫)
著書目録

ソフトカバー ダストカバー
□publisher:講談社文芸文庫
□date of issue:1994年4刷(1991年 初版)
□size:15x10.6cm
□page:251
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ 
三方薄ヤケ

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