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椋鳥日記(小沼丹 著)

椋鳥日記(小沼丹 著)
☆2024.8.20 再掲
1972年に早稲田大学の在外研究員としてイギリスに渡った小沼丹が、約半年間にわたってロンドンに滞在した日々を綴った随筆集。

EMIのアビー・ロード・スタジオにほど近いウエスト・エンド・レイン通りに面した家に寄宿しながら、70年代前半らしい華やかな「ロンドン」の様子は微塵も登場しない。

朝早く鳴り響く馬の蹄の音、酒屋の夫婦、郊外へと向かう緑色のバス……「ロンドン」ではなく「倫敦」と記した方がしっくりとくる、人生の陰翳に満ちた街の姿を、飄々とした筆致で描き出している。
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玄関を出て、ウエスト・エンド・レインを右に行くと、矢張り両側に住宅が並んでいた。前庭が広くて、巨きな樹立のある家も多い。バスが歩道の直ぐ傍を走ったりすると、小枝がばさばさとバスの二階の窓を打つことがある。
この道は七、八分歩くと二股になって、右へ行くとキルバン大通に出る。左はアビ・ロオドと名前が変る。二股の所でウエスト・エンド・レインは終になる。或は、そこから始るのである。

(「ウエスト・エンド・レイン」より)
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◎Contents
ウエスト・エンド・レイン
クラブ・アップルの花
テムズの灯
アダムとカルメン
移民局と歯医者
老人の家
緑色のバス
落葉
 解説:「ロンドン」と「倫敦」(清水良典)
 年譜(中村明)
 著書目録(中村明)

絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:講談社文芸文庫
□date of issue:2000年 初版
□size:15x10.6cm
□page:233
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
三方薄ヤケ

» 随筆・エッセイ
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