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懐中時計(小沼丹 著)
☆2024.8.20 再掲
日常の中に生じる微妙なゆらぎを、諧謔と哀感あふれる文体で描き出す小沼丹の短編集。1969年に刊行され、読売文学賞を受賞した円熟期の名作。
突然の妻の死を契機として十七年にわたって書き継がれ、小沼文学の白眉とされる連作「大寺さんもの」から「黒と白の猫」「タロオ」「蟬の抜け殻」「揺り椅子」4編を収録。
「大寺さん」という人間を造形することによって、自らの存在を突き放すように私的体験を描き出し、独特の小説世界を構築している。
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大寺さんは細君の死の前后の話を簡単にした。もう何人もの人に話したから、云うことは殆ど決っているのである。
― 兎も角、死ぬにしてもちゃんと順序を踏んで死んで呉れりゃいいんだけど、突然で、事務引継も何もありやしない。うちのなかのことが、さっぱり判らない。
― 馴れる迄は、大変だね。
― 挨拶無しに死ぬから困ります。
大寺さんは死んだ細君に腹を立てているみたいな口を利いた。
(「黒と白の猫」より)
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◎Contents
黒と白の猫
タロオ
蟬の脱穀
揺り椅子
エヂプトの涙壺
断崖
砂丘
影絵
自動車旅行
懐中時計
ギリシヤの皿
著者から読者へ(小沼丹)
解説(秋山駿)
作家案内(中村明)
著書目録(中村明)
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:講談社文芸文庫
□date of issue:1991年 初版
□size:15x10.6cm
□page:312
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
三方薄ヤケ
★カバー表折り返しの角がカットされています(写真2枚目)
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
日常の中に生じる微妙なゆらぎを、諧謔と哀感あふれる文体で描き出す小沼丹の短編集。1969年に刊行され、読売文学賞を受賞した円熟期の名作。
突然の妻の死を契機として十七年にわたって書き継がれ、小沼文学の白眉とされる連作「大寺さんもの」から「黒と白の猫」「タロオ」「蟬の抜け殻」「揺り椅子」4編を収録。
「大寺さん」という人間を造形することによって、自らの存在を突き放すように私的体験を描き出し、独特の小説世界を構築している。
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大寺さんは細君の死の前后の話を簡単にした。もう何人もの人に話したから、云うことは殆ど決っているのである。
― 兎も角、死ぬにしてもちゃんと順序を踏んで死んで呉れりゃいいんだけど、突然で、事務引継も何もありやしない。うちのなかのことが、さっぱり判らない。
― 馴れる迄は、大変だね。
― 挨拶無しに死ぬから困ります。
大寺さんは死んだ細君に腹を立てているみたいな口を利いた。
(「黒と白の猫」より)
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◎Contents
黒と白の猫
タロオ
蟬の脱穀
揺り椅子
エヂプトの涙壺
断崖
砂丘
影絵
自動車旅行
懐中時計
ギリシヤの皿
著者から読者へ(小沼丹)
解説(秋山駿)
作家案内(中村明)
著書目録(中村明)
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:講談社文芸文庫
□date of issue:1991年 初版
□size:15x10.6cm
□page:312
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
三方薄ヤケ
★カバー表折り返しの角がカットされています(写真2枚目)
» 小説
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