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夏子の四季(舟橋聖一 著、山口蓬春 装幀)

夏子の四季(舟橋聖一 著、山口蓬春 装幀)
温泉芸者から妾となり、戦後社会を生き抜くひとりの女性の姿を描き、「夏子もの」として一世を風靡した連作小説の第二作。(第一作『芸者小夏』は講談社文芸文庫に収録)
岡田茉莉子や若尾文子を主演として映画化され、人気を博した。

二号となって日蔭の生活を送る夏子――それなりの嘆きはあっても、意地と知性で明るく生き抜いてゆく。花街に育って、色恋をいのちに生きる女の宿命、その切ない吐息と艶めく肌の感触までを、新鮮な筆でえがく。(帯文より)

マティスなどのフランス近代絵画の影響を受け、「新日本画」の世界を築いた画家・山口蓬春の装幀も魅力的。
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寝ながら、夏子が、立候補者の名を拾つたあとで、次の頁へ目を轉じると、容易ならぬ記事が目についた。
四段ヌキ、零號活字で、
「二號持ちに投票せず」
とあるではないか。夏子は思わず、ピクリと緊張した。(略)
夏子は思つた。二號さんが悪いのではない、二號さんなぞを持つ男が悪いのである。それで、このやうに零號活字で非難されても、仕方がないが、それとの連關に於て、二號さん自體も、この記事からは大變な侮辱を受けたことになる。夏子は、何とも云へない寂寞感に襲はれた。

(「夏子の淸き一票」より)
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◎Contents
夏子の淸き一票
夏子の赤い羽根
秋刀魚燒く夏子
小春のどかな夏子
泣上戶の夏子
夏子の春怨
黃昏の道行く夏子
夏子の淺黃櫻
五月雨を聽く夏子
夏子の手書き浴衣
水たまりの夏子
螢見る夏子
キンゼイを讀む夏子

絶版または版元品切れ
ハードカバー ダストカバー 帯あり
□publisher:新潮社
□date of issue:1958年4刷(1954年初版)
□size:19.2x13.8cm
□page:319
□condition:経年なり・普通 カバーヤケスレ汚れ傷み
三方ヤケ 経年シミ 小口シミ
★帯破れ(写真7枚目)

» 小説
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