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ゆめこ縮緬(皆川博子 著)
1972年にデビューして以来、ミステリー、幻想小説、歴史小説、時代小説など、ジャンルを越境した傑作群を半世紀にわたって生み出し続けてきた、孤高の作家・皆川博子。
「中洲」という異界で繰り広げられる生者と死者の怪しの恋を描いた「文月の使者」ほか、皆川幻想文学の最高傑作との呼び声の高い、美しくも恐ろしい八篇を収録した短篇集。1998年に刊行された単行本の文庫化。
作者自身、ある近著のあとがきに「書きたいものが見え、好きなものを書けるようになったのは、長編では『死の泉』短篇集では『ゆめこ縮緬』以降です」と記している。
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「指は、あげましたよ」
背後に声がたゆたった。
空耳。いや、なに、聞き違え…。
くずれ落ちた女橋のたもと、桟橋への石段を下りようとしたときだった。川面までほんの三、四段。すりへった石段は海綿のように、一足ごとにじわりと水を吐き出す。振り返ろうとして足がすべり、あやうく身をたてなおす、その間に、声の主は消えていた。
(「文月の使者」より)
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◎Contents
文月の使者
影つづれ
桔梗闇
花溶け
玉虫抄
胡蝶塚
青火童女
ゆめこ縮緬
絶版または版元品切れ(2019年に角川文庫より復刊)
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:集英社文庫
□date of issue:2001年 初版
□size:15.2x10.5cm
□page:270
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
「中洲」という異界で繰り広げられる生者と死者の怪しの恋を描いた「文月の使者」ほか、皆川幻想文学の最高傑作との呼び声の高い、美しくも恐ろしい八篇を収録した短篇集。1998年に刊行された単行本の文庫化。
作者自身、ある近著のあとがきに「書きたいものが見え、好きなものを書けるようになったのは、長編では『死の泉』短篇集では『ゆめこ縮緬』以降です」と記している。
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「指は、あげましたよ」
背後に声がたゆたった。
空耳。いや、なに、聞き違え…。
くずれ落ちた女橋のたもと、桟橋への石段を下りようとしたときだった。川面までほんの三、四段。すりへった石段は海綿のように、一足ごとにじわりと水を吐き出す。振り返ろうとして足がすべり、あやうく身をたてなおす、その間に、声の主は消えていた。
(「文月の使者」より)
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◎Contents
文月の使者
影つづれ
桔梗闇
花溶け
玉虫抄
胡蝶塚
青火童女
ゆめこ縮緬
絶版または版元品切れ(2019年に角川文庫より復刊)
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:集英社文庫
□date of issue:2001年 初版
□size:15.2x10.5cm
□page:270
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
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