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せきれい(庄野潤三 著)
「第三の新人」のひとりで芥川賞作家の庄野潤三が、自らの晩年の生活を日録風に綴った家族小説シリーズの第三作。1998年4月に刊行された単行本の文庫化。
郊外の「山の上」に居を構え二人暮らしをしている老父婦が、子や孫たちと親しく交流し、庭にやってくる鳥たちを慈しみ、宝塚歌劇の舞台を楽しむ。そんな人生の断片が淡々と綴られた文章を読むほどに、心の中に、日々の喜びや哀感が流れ込んでくる。
長年にわたって親交を深めてきた作家・小沼丹の訃報に接した際の想いが、「悲しき知らせ」と題して記されており、せつせつとした静かな筆致に胸を打たれる。
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ただ一つ、せめてもの慰みは、去年の春に新潮社から出た『文学交友録』の最後の章を「小沼丹・庄野英二」として、小沼との四十年に及ぶつきあいを振返って書いたことだ。この本を送ったころはまだ小沼は元気であったから、私の本を読んでくれたに違いない。(略)
吉岡からの電話を聞いたあと、妻としばらく小沼のことを話してから、二人で小沼の冥福を祈って手を合わせる。
夜、いつものハーモニカは、一曲だけにして、小沼の好きだった「カプリ島」を吹く。
(「本文」より)
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装画、関口美智子。
解説、小澤征良。
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:文春文庫
□date of issue:2005年 初版
□size:15.2x10.5cm
□page:351
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
表見返しページ折れ目
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
郊外の「山の上」に居を構え二人暮らしをしている老父婦が、子や孫たちと親しく交流し、庭にやってくる鳥たちを慈しみ、宝塚歌劇の舞台を楽しむ。そんな人生の断片が淡々と綴られた文章を読むほどに、心の中に、日々の喜びや哀感が流れ込んでくる。
長年にわたって親交を深めてきた作家・小沼丹の訃報に接した際の想いが、「悲しき知らせ」と題して記されており、せつせつとした静かな筆致に胸を打たれる。
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ただ一つ、せめてもの慰みは、去年の春に新潮社から出た『文学交友録』の最後の章を「小沼丹・庄野英二」として、小沼との四十年に及ぶつきあいを振返って書いたことだ。この本を送ったころはまだ小沼は元気であったから、私の本を読んでくれたに違いない。(略)
吉岡からの電話を聞いたあと、妻としばらく小沼のことを話してから、二人で小沼の冥福を祈って手を合わせる。
夜、いつものハーモニカは、一曲だけにして、小沼の好きだった「カプリ島」を吹く。
(「本文」より)
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装画、関口美智子。
解説、小澤征良。
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:文春文庫
□date of issue:2005年 初版
□size:15.2x10.5cm
□page:351
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
表見返しページ折れ目
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