心のてのひらに（稲葉真弓著）

Item

心のてのひらに（稲葉真弓著）

阿部薫と鈴木いづみの壮絶な愛を描いた『エンドレス・ワルツ』で作家としての文名を高め、『声の娼婦』『海松』『半島へ』などの作品を発表し続けた稲葉真弓。1982年に刊行した第一詩集『ほろびの音』を皮切りに、詩人としても精力的に作品を発表した。

本書は、2014年に逝去した翌年に刊行された遺稿詩集。生前に編集者に詩稿が手渡され、本人の構想に基づいてまとめられている。重篤な病いに冒されながら、最後にたどりついた静謐な詩的境地。
------------------------
垂直に鳥が落ちてくる
開いた松毬の種が無数に
風に運ばれて息もできなかった
あるいは西の空　が
ふんどしのような輝く帯におおわれ
そこにだけ赤や紫の重力がたれこめていた　と
いったようなことなど　なにひとつ
なかったのでした

（「白い花」より）
------------------------
◎Contents
白い花
春そこから皮膚が
海をゆくものへの挽歌
（無題）
シュポー　見えない列車
（無題）
椿を鎮める
ことほぎ
クラゲたち
冬の薔薇
ホントウのコト
方舟・2011
きょうの祭礼
儀式
秋の柩
町のありか
問いかけ
白と黒についてわたしたちが話したこと
ある船の物語
受粉の日

ハードカバー　ダストカバー
□publisher：港の人
□date of issue：2015年初版
□size：17.3x11.2cm
□page：105
□condition：経年なり・普通　カバー背少退色

» 詩歌・その他
https://narda.thebase.in/categories/1326667