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ある歴史の娘(犬養道子 著)
五・一五事件で凶弾に倒れた犬養毅の孫にあたる、文筆家・犬養道子の幼少期から少女期までの自伝『花々と星々と』の続編。雑誌『ミセス』に連載され、1977年に刊行された単行本の文庫化。
11歳で「五・一五事件」の現場に居合わせた著者は、津田塾入学・中退を経て、父の赴任先の上海に一時遊学し、太平洋戦争末期の東京で洗礼を受けクリスチャンとなる——。激動の時代に翻弄された「ある歴史の娘」の、約10年間におよぶ青春期を綴る。
『花々と星々と』では文人・画家たちが多く登場し、文化的でおだやかで空気に満ちていたが、本書では父・犬養健がスパイ嫌疑に名をつらねたゾルゲ事件、上海で目の当たりにした抗日運動など、通奏低音のような不穏さが常に流れている。
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ある日、私はついに言った。
「神父さま、洗礼を」
—— 第一回の東京空襲。はじめての焼夷弾。第二回目の空襲。火の手があちこちに上り、水道栓がやられ、さいしょの死傷者が東京に出た。(略)
「死」は、現実に、「いま」「在り得るもの」として、日々の生活にまつわりついた。人々の、とくに父母の安泰は祈りながらも、自分一個の生を思うとき、私は日々そこにある爆死の可能性を喜悦と感謝もて眺め見ずにいられなかった。
(「ヴィタ・ヌオヴァ」より)
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◎Contents
北の南の人
つゆ冷え
問い
借翠宝蘭亭斎
日記の周辺
青い手紙
判決
青の客
熊と切手
楽学(幕間のとき)
「七月七日」
津田
青春の嵐
長崎の前夜
和平工作
汪さんと言う人
揚子江
フランス租界
夜会服
ひとつの林檎
ヴィタ・ヌオヴァ
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:中公文庫
□date of issue:1980年 初版
□size:15x10.5cm
□page:444
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
三方ヤケ 小口点茶シミ
» 随筆・エッセイ
https://narda.thebase.in/categories/1326663
11歳で「五・一五事件」の現場に居合わせた著者は、津田塾入学・中退を経て、父の赴任先の上海に一時遊学し、太平洋戦争末期の東京で洗礼を受けクリスチャンとなる——。激動の時代に翻弄された「ある歴史の娘」の、約10年間におよぶ青春期を綴る。
『花々と星々と』では文人・画家たちが多く登場し、文化的でおだやかで空気に満ちていたが、本書では父・犬養健がスパイ嫌疑に名をつらねたゾルゲ事件、上海で目の当たりにした抗日運動など、通奏低音のような不穏さが常に流れている。
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ある日、私はついに言った。
「神父さま、洗礼を」
—— 第一回の東京空襲。はじめての焼夷弾。第二回目の空襲。火の手があちこちに上り、水道栓がやられ、さいしょの死傷者が東京に出た。(略)
「死」は、現実に、「いま」「在り得るもの」として、日々の生活にまつわりついた。人々の、とくに父母の安泰は祈りながらも、自分一個の生を思うとき、私は日々そこにある爆死の可能性を喜悦と感謝もて眺め見ずにいられなかった。
(「ヴィタ・ヌオヴァ」より)
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◎Contents
北の南の人
つゆ冷え
問い
借翠宝蘭亭斎
日記の周辺
青い手紙
判決
青の客
熊と切手
楽学(幕間のとき)
「七月七日」
津田
青春の嵐
長崎の前夜
和平工作
汪さんと言う人
揚子江
フランス租界
夜会服
ひとつの林檎
ヴィタ・ヌオヴァ
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:中公文庫
□date of issue:1980年 初版
□size:15x10.5cm
□page:444
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
三方ヤケ 小口点茶シミ
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