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宿なしまり子(室生犀星 著)

宿なしまり子(室生犀星 著)
昭和23年に「西日本新聞」「北海道新聞」に同時連載された新聞小説で、連載時は「唇も寂しく」という題がつけられていました。

三千子、孝子、伊津子、まり子 ー 戦後の世相に翻弄される、若い女性たちの過酷な運命を描く物語。表題となっている「まり子」は、決まった宿もなく友人のところを泊まり歩き、意地悪で、ずるくて、ちゃっかりと性格ですが、男の目からは可愛く、美貌だけを武器にたくましく生き抜いていきます。

室生犀星は本作品への愛着が深く、新聞の切り抜きを貼り込んだ藁半紙をたばねて一冊に綴じ、「宿なしまり子」と改題した表紙をつけて手元に置いていたそうです。本書は、そのタイトルを採用し、著者の逝去後まもなく刊行された単行本です。
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「泊まるの?」
「ええ、泊めていただくわ」
「そんな彼處此處泊つて歩いてからだをこはさない?」
「ゆつくり睡るから疲れないわ」
「よくあんたは他人の床で睡られるわね。わたしなぞ些つとも睡れない」
まり子はスリップ一枚になると、伊津子の床の中にはひつた。
(中略)
「可愛い顔をして寝てゐる」
三千子は顔だけがいつも言葉と反對の温和しい、蟲もころさない顔のまり子をしげしげと見つめた。
(本文より)

絶版または版元品切れ
ハードカバー 函
□publisher:角川書店
□date of issue:1962年 初版
□page: 220
□condition:経年なり・普通 本体背ヤケ 函ヤケ強スレ汚れ傷み
※中面は比較的きれいな状態です。

» 小説
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