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私の浅草(沢村貞子 著、花森安治 挿画)

私の浅草(沢村貞子 著、花森安治 挿画)
浅草に生まれ育った女優・沢村貞子が、東京下町の人情あふれる暮らしぶり、四季折々の町の表情、家族の思い出などを、細やかな筆で綴った珠玉のエッセイ集。

1973年から雑誌『暮しの手帖』に連載され、1976年に刊行された単行本の文庫化。一作一作に、暮しの手帖編集長・花森安治による挿絵が添えられている。
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むかし、浅草の観音堂の裏手一番は、奥山と呼ばれていた。
私が子供の頃、そこに萬盛庵という、大きなそば屋さんがあった。(略)
店に働く人たちの、キリリとした身仕舞いのよさにも、老舗の伝統が感じられた。食べもの屋らしく、白粉っ気のない女中さんの、小ぶりの銀杏返し、前かけにかいがいしいたすき姿、とりわけ、わけへだてのない、行儀のいい客扱いは評判であった。
「なんてったって萬成庵さ、主人のお仕込みが違わぁな」
浅草の人たちは、それをわがことのように誇りにしていた。
初めての客が、
「ここのおそばは、なにが一番おいしいの?」
と、きく。
「ざるそばでございます。」
という答えが、すぐ返ってくる。そんなしつけがいきとどいていた。

(「萬盛庵物語」より)
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◎Contents
あたりみかん
銭湯
初詣で
駄菓子屋騒動
源水のこままわし
亡者おくり
どんどん焼き
浅草の家
男の年令
たかが亭主の浮気
お豆腐の針
おふくろの味
味噌やの平さん
なぞなぞ
小さいお雛さま
飾り窓
被官さまの初午
春のお彼岸
物売り
占い屋さん
浅草娘
浅草尋常小学校
味噌汁
知りたがりや
パン屋のしろちゃん
お花見役者
路地の遊び
本日しょうぶ湯
セルと私
医者ころし
二弦琴と仲見世小町
化粧
三社祭
こんにちさま
衣更
お富士さま
遊芸
長唄のお師匠さん
紅い鼻緒
母の丸髷
タンカバイ
浴衣
ほおずき市
お盆さま
花火
藪入り
猫年の女房
白い蚊帳

父と洋服
泣いちゃいけない
お茶漬けサラサラ
色衿
プラチナの鯉
二百十日
仁王の松つぁん
ヘチマの水
五黄の寅
萬盛庵物語
無花果っ子
宮戸座
花屋敷のあたり
ドブ長さん
お酉さま
極楽トンボ
こぎれやさん
リボンの少女
秋田の女
留さんの恵方
今川焼とお輝ちゃん
子供は風の子
羽子板市の夜
蒲団づくり
役者バカ

解説:山田太一

絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:新潮文庫
□date of issue:1987年初版
□size:15x10.5cm
□page:292
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ

» 随筆・エッセイ
https://narda.thebase.in/categories/1326663
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