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東京焼盡(内田百閒 著)- 旺文社文庫 全作品集

東京焼盡(内田百閒 著)- 旺文社文庫 全作品集
百閒の遺志に従い「旧仮名遣い」を用いて、昭和54年から59年まで刊行された旺文社文庫〈特別企画〉全作品集より。

昭和19年11月から昭和20年8月まで、アメリカ軍による激しい空襲によって焼き尽くされてゆく首都の様子を克明に記録した戦中日記。終戦後10年を経て、昭和30年に単行本として刊行された。

百閒らしい諧謔はなりをひそめ、おしよせる敵機、逃げ惑う人びとの姿が時系列に従って、淡々と記述される。その徒に檄することのない筆致から、日常を破壊してゆく戦争の怖しさが浮かび上がる。

本書をもって、内田百閒 旺文社文庫全作品集39巻の完結となった。
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昭和二十年
一月一日月曜日舊暦十六夜。一時過ぎ眠りに就く。夜通し表に人声や足音が聞こえた様だが、矢張り初詣りなのか知ら。午前五時警戒警報にて起きる。五時三十分解除。また焼夷弾の落ちるのが見えた。今度はさつきの二度より右手の方なり。幸ひ消し止めたらしく火事にはならなかつた様である。(略)
家内と差し向かひにて物騒な妙なお正月を味はふ。昼中は空が静かであつたが今夜にもまたやつて来る事なる可し。

(「第8章 鹿が食ふ様な物でお正月」より)
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◎Contents
第1章 一機の空襲警報
第2章 空襲の皮切り
第3章 神田日本橋の空襲
第4章 東海の激震
第5章 深夜の警報頻り也
第6章 用水桶の厚氷
第7章 大晦日の夜空に響く待避信号の半鐘
第8章 鹿が食ふ様な物でお正月
第9章 残月と焼夷弾
第10章 サーチライトの光芒三十幾条
第11章 ラヂオ取附
第12章 銀座の爆弾攻撃
第13章 立春の翌零下七度
第14章 丸ノ内精密爆撃の流言
第15章 艦載機の初襲来
第16章 春雪降り積もる
第17章 雪天の大空襲
第18章 雀
第19章 神田は已に無し
第20章 無事の幾日
第21章 荻窪の友人の家吹飛ぶ
第22章 何年振りのキヤラメル
第23章 三月十日の大空襲
第24章 主治医邸の焼け跡
第25章 戦戦兢兢の蜚語
第26章 お粥腹の戦時浮腫
第27章 三年坂名残りの枝垂桜
第28章 めんこの地雷火の様に爆弾炸裂す
第29章 又空襲繁し
第30章 春光の大空をおほふ敵機の大群
第31章 道もせに散りしく近火の火の子
第33章 風声鶴唳
第35章 陽気の所為で神も気違ひになる
第37章 暫らく静かだつた後の大空襲
第39章 小屋暮らしの始まり
第40章 廃墟の東京駅
第41章 小屋の明け暮れ
第42章 大内山の森に沈む金色の夕日
第43章 夢心地の警報は甘い音に聞こえる
第44章 栄養不足の執拗な下痢
第45章 珍らしや普通の火事の火の手
第46章 缶詰を盗んだとの濡れ衣
第47章 敵機動部隊の艦上機頻りに来襲す
第48章 運命とはB29である
第49章 八重洲口に落ちた爆弾の爆風
第50章 その晩の回想
第51章 仰願寺蝋燭の残り少し
第52章 天竜川河口の艦砲射撃
第53章 配給所に米無し
第54章 田無荻窪の工場地帯の爆撃
第55章 敵潜水艦下田を攻撃す
第56章 戦争終結の詔勅

「東京焼盡」雑記(平山三郎)
カバー:田村義也

絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:旺文社文庫
□date of issue:1984年 初版
□size:15x11cm
□page:304
□condition:経年なり・普通 カバーヤケスレ汚れ傷み
三方薄ヤケ 経年シミ 裏見返しラベル剥がし跡

» 随筆・エッセイ
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