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花豆の煮えるまで - 小夜の物語(安房直子 著、味戸ケイコ 絵)
小夜は山あいの温泉宿の子で、おばあさん、お父さんと三人暮らし。ある日、おばあさんが、名物の花豆を煮ながら、里へ帰ってしまったお母さんの思い出を話しはじめる。
小夜のお母さんは、山んばの娘で、お父さんが花豆を仕入れて帰る途中、「花豆、すこうし、わけてください。」と山道で声をかけてきたのだという……。
山の精たちの世界と、人間たちの世界を自在に行き来する、6話の連作短篇。1993年に逝去した安房直子が残した、最後の作品集。
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「小夜の母さんは、たしかに風になった。山んばのところへ帰って、山の風になったんだ。ときどき、この里におりてきて、あけびのゆりかごをゆらしていった。そうすると、ゆりかごの中の小夜は、ひとりで、たのしそうに笑った。風が、たぶん、赤んぼの名前をよんだのだろう。『小夜ー、小夜ー』となあ……。」
小夜は、大きくうなずきました。ああ、そんなことが、いまでもあるよと、小夜は思うのです。山を歩けば、風がわたしをよんでいると、いつも思うのです。
(「第一話 花豆の煮えるまで」より)
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◎Contents
第一話 花豆の煮えるまで
第二話 風になって
第三話 湯の花
第四話 紅葉の頃
第五話 小夜と鬼の子
第六話 大きな朴の木
ハードカバー ダストカバー
□publisher:偕成社
□date of issue:1993年2刷(1993年初版)
□size:21.6x15.5cm
□page:212
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
小口少点茶シミ
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
小夜のお母さんは、山んばの娘で、お父さんが花豆を仕入れて帰る途中、「花豆、すこうし、わけてください。」と山道で声をかけてきたのだという……。
山の精たちの世界と、人間たちの世界を自在に行き来する、6話の連作短篇。1993年に逝去した安房直子が残した、最後の作品集。
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「小夜の母さんは、たしかに風になった。山んばのところへ帰って、山の風になったんだ。ときどき、この里におりてきて、あけびのゆりかごをゆらしていった。そうすると、ゆりかごの中の小夜は、ひとりで、たのしそうに笑った。風が、たぶん、赤んぼの名前をよんだのだろう。『小夜ー、小夜ー』となあ……。」
小夜は、大きくうなずきました。ああ、そんなことが、いまでもあるよと、小夜は思うのです。山を歩けば、風がわたしをよんでいると、いつも思うのです。
(「第一話 花豆の煮えるまで」より)
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◎Contents
第一話 花豆の煮えるまで
第二話 風になって
第三話 湯の花
第四話 紅葉の頃
第五話 小夜と鬼の子
第六話 大きな朴の木
ハードカバー ダストカバー
□publisher:偕成社
□date of issue:1993年2刷(1993年初版)
□size:21.6x15.5cm
□page:212
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ
小口少点茶シミ
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