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現代映画の思想的考察(神村隆志 著、粟津潔 装幀)
国内外の映画作品と社会状況を重ね合わせ、批判的に論じる評論集。〈現代帝国主義美学批判〉と題された序文から、70年代的なパトスに満ちた言説が展開されている。
著者の神村隆志は、1960年に4日で公開打ち切りとなった大島渚監督の『日本の夜と霧』の関西上映運動に関わっており、本書でも同監督の作品が巻頭に掲載されている。
そのほか、数多くの映画監督・作品が取り上げられているが、とりわけ、パゾリーニを高く評価している。
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昨年の映画界は〈パゾリーニ旋風〉というべきものが支配した。かつてグラムシ流のコミュニストであったと称するこの現代映画作家は、自らの転向の深さをその映画に刻印し、人を驚かす映像をもって当世流行の〈幻想観念〉の世界を展開した。
たとえば『テオレマ』(定理という意味)では、イタリア・ブルジョア階級の崩壊を描くのであるが、事件は〈神的〉な性格をおびた青年が女中を含めた五人家族と異常な精神的・肉体的関係をとり結ぶことによって崩壊せしめていく。
(「パゾリーニ美学の形而上学的〈様式性〉」より)
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◎Contents
〈序〉現代帝国主義美学批判
― 現代映画にみるアナーキズム・ニヒリズム的腐敗
▶︎1 日本の映画
大島渚
日本の夜と霧/忘れられた皇軍/忍者武芸帖/無理心中・日本の夏/東京戦争戦後秘話/儀式/夏の妹
吉田喜重
樹氷のよろめき/さらば夏の光/エロス+虐殺/煉獄エロイカ/告白的女優論
浦山桐郎
キューポラのある町/非行少女/私が棄てた女
今村昌平
赤い殺意/人類学入門/ネオン太平記/神々の深き欲望
新藤兼人
鉄輪/銭ゲバ/裸の十九才/薮の中の黒猫/心
羽仁進
初恋・地獄篇/愛奴/午前中の時間割り
斉藤耕一
津軽じょんがら節/旅の重さ
山田洋次
家族/故郷
熊井啓
地の群れ
山本薩夫
戦争と人間
実相寺昭雄
無常/曼陀羅/哥
山内久
若者はゆく/若者の旗
森弘太
河―あの裏切りが重く
深作欣二
軍旗はためく下に/仁義なき戦い
東陽一
沖縄列島
今井正
婉という女
篠田正治
心中天網島/沈黙
岡本喜八
肉弾
成島東一郎
青幻記
寺山修司
書を捨てよ、町へ出よう
『アートシアター』誌100号の盛衰
黒木和雄
キューバの恋人
ヤクザ映画の〈怨み節〉
女囚さそり〈けもの部屋〉/花と龍
▶︎2 世界の映画
孤独の陥没―アントニオーニ批判
砂丘
現代知識人の絶望の詩―パゾリーニ
アポロンの地獄/テオレマ/王女メディア/デカメロン
映画の可能性―ジッロ・ポンテコルボ
アルジェの戦い
ラテン・アメリカの「政治映画」―ローシャ
アントニオス・ダス・モルテス
支配階級への告発―ジョセフ・ロージー
召使/出来事
フェリーニ
8 1/2/サテリコン
チャプリン
モダン・タイムス/独裁者
現代アメリカの鏡
真夜中のカーボーイ/俺たちに明日はない/失われた男/夫婦/明日よさらば/ラスト・タンゴ・イン・パリ/ウッド・ストック
権力と暴力
フレンチ・コネクション/シンジケート/バラキ
戦う世界の映画人たち
ベトナムを遠く離れて/死刑台のメロディ/サイゴンの少女ニュン/鎖の大陸(苦いパン)/レーチェル・レーチェル/わが青春のフロレンス/国境は燃えている/ジョニーは戦場に行った/ジョー・ヒル/抵抗の詩/マラーの迫害と暗殺
現代ソ連映画の傾向
アンナ・カレーニナ/貴族の巣/火の馬/赤いテント
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:土曜美術社
□date of issue:1974年 初版
□size:18x13cm
□page:353
□condition:経年なり・可 カバーヤケスレ汚れ傷み
背少破れ 小口シミ(写真9枚目)
» 写真・映像・その他
https://narda.thebase.in/categories/1326661
著者の神村隆志は、1960年に4日で公開打ち切りとなった大島渚監督の『日本の夜と霧』の関西上映運動に関わっており、本書でも同監督の作品が巻頭に掲載されている。
そのほか、数多くの映画監督・作品が取り上げられているが、とりわけ、パゾリーニを高く評価している。
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昨年の映画界は〈パゾリーニ旋風〉というべきものが支配した。かつてグラムシ流のコミュニストであったと称するこの現代映画作家は、自らの転向の深さをその映画に刻印し、人を驚かす映像をもって当世流行の〈幻想観念〉の世界を展開した。
たとえば『テオレマ』(定理という意味)では、イタリア・ブルジョア階級の崩壊を描くのであるが、事件は〈神的〉な性格をおびた青年が女中を含めた五人家族と異常な精神的・肉体的関係をとり結ぶことによって崩壊せしめていく。
(「パゾリーニ美学の形而上学的〈様式性〉」より)
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◎Contents
〈序〉現代帝国主義美学批判
― 現代映画にみるアナーキズム・ニヒリズム的腐敗
▶︎1 日本の映画
大島渚
日本の夜と霧/忘れられた皇軍/忍者武芸帖/無理心中・日本の夏/東京戦争戦後秘話/儀式/夏の妹
吉田喜重
樹氷のよろめき/さらば夏の光/エロス+虐殺/煉獄エロイカ/告白的女優論
浦山桐郎
キューポラのある町/非行少女/私が棄てた女
今村昌平
赤い殺意/人類学入門/ネオン太平記/神々の深き欲望
新藤兼人
鉄輪/銭ゲバ/裸の十九才/薮の中の黒猫/心
羽仁進
初恋・地獄篇/愛奴/午前中の時間割り
斉藤耕一
津軽じょんがら節/旅の重さ
山田洋次
家族/故郷
熊井啓
地の群れ
山本薩夫
戦争と人間
実相寺昭雄
無常/曼陀羅/哥
山内久
若者はゆく/若者の旗
森弘太
河―あの裏切りが重く
深作欣二
軍旗はためく下に/仁義なき戦い
東陽一
沖縄列島
今井正
婉という女
篠田正治
心中天網島/沈黙
岡本喜八
肉弾
成島東一郎
青幻記
寺山修司
書を捨てよ、町へ出よう
『アートシアター』誌100号の盛衰
黒木和雄
キューバの恋人
ヤクザ映画の〈怨み節〉
女囚さそり〈けもの部屋〉/花と龍
▶︎2 世界の映画
孤独の陥没―アントニオーニ批判
砂丘
現代知識人の絶望の詩―パゾリーニ
アポロンの地獄/テオレマ/王女メディア/デカメロン
映画の可能性―ジッロ・ポンテコルボ
アルジェの戦い
ラテン・アメリカの「政治映画」―ローシャ
アントニオス・ダス・モルテス
支配階級への告発―ジョセフ・ロージー
召使/出来事
フェリーニ
8 1/2/サテリコン
チャプリン
モダン・タイムス/独裁者
現代アメリカの鏡
真夜中のカーボーイ/俺たちに明日はない/失われた男/夫婦/明日よさらば/ラスト・タンゴ・イン・パリ/ウッド・ストック
権力と暴力
フレンチ・コネクション/シンジケート/バラキ
戦う世界の映画人たち
ベトナムを遠く離れて/死刑台のメロディ/サイゴンの少女ニュン/鎖の大陸(苦いパン)/レーチェル・レーチェル/わが青春のフロレンス/国境は燃えている/ジョニーは戦場に行った/ジョー・ヒル/抵抗の詩/マラーの迫害と暗殺
現代ソ連映画の傾向
アンナ・カレーニナ/貴族の巣/火の馬/赤いテント
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:土曜美術社
□date of issue:1974年 初版
□size:18x13cm
□page:353
□condition:経年なり・可 カバーヤケスレ汚れ傷み
背少破れ 小口シミ(写真9枚目)
» 写真・映像・その他
https://narda.thebase.in/categories/1326661