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鶴(内田百閒 著)- 旺文社文庫 全作品集
百閒の遺志に従い「旧仮名遣い」を用いて、昭和54年から59年まで刊行された旺文社文庫〈特別企画〉全作品集より。
第一作品集『冥途』が文壇に黙殺され、長く不遇をかこっていた百閒は、四十四歳の時に刊行した第一随筆集『百鬼園随筆』で一躍文名を高め、その後矢継ぎ早に著作を発表している。
本書は、『百鬼園随筆』から一年後に刊行された第四随筆集。表題作は3頁にも満たない小品だが、「鶴」という生き物の在り方を描き切った名文として知られている。
動物や機械のなかに潜む「魔性のようなもの」を描いた随筆が多く収められているが、漱石やその門弟たちの思い出をつづる諸作がしみじみと味わい深い。
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十二月九日の日暮れに漱石先生が亡くなられてから、お葬ひは何日目の幾日であつたかも思ひ出せない。二十年の歳月が、痛みに堪へなかつた感傷を癒やし、同時に慌しかつたその当時の事の後先を、順序もつながりもなくしてしまつた。二十年の時の流れは、私を翻弄する事に急であつて、自分の身の上として顧れば、大浪が不意に立ち騒ぎ、相撃ち、流れを攪した事も幾度かあるので、その当時の狂瀾が、大切な記憶や感傷を洗ひ去つた様な気もするのである。
(「漱石先生臨終記」より)
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◎Contents
鶴
長春香
三校協議会
貧凍の記
翠佛傳
饗応
写真師
名月
八重衣
蘭蟲
井底雞
稲荷
面会日
秋宵鬼哭
濡れ衣
林檎
牝雞之晨
初飛行
饒舌
澤庵
雞声
軒提燈
漱石先生臨終記
湖南の扇
忘れ貝
象頭山
口髭
狸芝居
録音風景
蓄音機
柄長檢校
柄長勾当
百鬼園先生言行録拾遺
烏城追思
郷夢散録(先生の喧嘩、串団子、大手饅頭ほか)
動詞の不変化語尾に就いて
解説:種村季弘、平山三郎
カバー:田村義也
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:旺文社文庫
□date of issue:1981年 初版
□size:15x11cm
□page:271
□condition:経年なり・普通 カバーヤケスレ汚れ傷みシミ
三方ヤケ
» 随筆・エッセイ
https://narda.thebase.in/categories/1326663
第一作品集『冥途』が文壇に黙殺され、長く不遇をかこっていた百閒は、四十四歳の時に刊行した第一随筆集『百鬼園随筆』で一躍文名を高め、その後矢継ぎ早に著作を発表している。
本書は、『百鬼園随筆』から一年後に刊行された第四随筆集。表題作は3頁にも満たない小品だが、「鶴」という生き物の在り方を描き切った名文として知られている。
動物や機械のなかに潜む「魔性のようなもの」を描いた随筆が多く収められているが、漱石やその門弟たちの思い出をつづる諸作がしみじみと味わい深い。
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十二月九日の日暮れに漱石先生が亡くなられてから、お葬ひは何日目の幾日であつたかも思ひ出せない。二十年の歳月が、痛みに堪へなかつた感傷を癒やし、同時に慌しかつたその当時の事の後先を、順序もつながりもなくしてしまつた。二十年の時の流れは、私を翻弄する事に急であつて、自分の身の上として顧れば、大浪が不意に立ち騒ぎ、相撃ち、流れを攪した事も幾度かあるので、その当時の狂瀾が、大切な記憶や感傷を洗ひ去つた様な気もするのである。
(「漱石先生臨終記」より)
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◎Contents
鶴
長春香
三校協議会
貧凍の記
翠佛傳
饗応
写真師
名月
八重衣
蘭蟲
井底雞
稲荷
面会日
秋宵鬼哭
濡れ衣
林檎
牝雞之晨
初飛行
饒舌
澤庵
雞声
軒提燈
漱石先生臨終記
湖南の扇
忘れ貝
象頭山
口髭
狸芝居
録音風景
蓄音機
柄長檢校
柄長勾当
百鬼園先生言行録拾遺
烏城追思
郷夢散録(先生の喧嘩、串団子、大手饅頭ほか)
動詞の不変化語尾に就いて
解説:種村季弘、平山三郎
カバー:田村義也
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:旺文社文庫
□date of issue:1981年 初版
□size:15x11cm
□page:271
□condition:経年なり・普通 カバーヤケスレ汚れ傷みシミ
三方ヤケ
» 随筆・エッセイ
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