「食通」を気取らない「くいしん坊の雑誌」と銘打って、1974年に元毎日新聞記者の佐々木芳人によって創刊された季刊誌。7号からは文芸評論家・大河内昭爾が編集を受け継ぎ、45号まで刊行された。

創刊30号記念号の特集は「洋食屋」「私の好きな店」。椎名誠、山本嘉次郎、斎藤茂太、小沢昭一、久里洋二、檀ふみ、嵐山光三郎らによる、硬軟とりまぜたエッセイが並ぶ。

編集長対談のゲストは、国語学者の金田一春彦。戦前の東大正門前にあった、芥川龍之介、菊池寛、久米正雄らの文士が集まるモダンな洋食屋の話題など、文壇の裏話に花を咲かせている。

目次ページが初の二色刷りになっており、30号記念の意気込みが感じられる。連載コラム「あさめし」「ひるめし」「ばんめし」なども、こだわった人選となっている。
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何がきっかけ……というほどのこともないのに、あるひ突拍子もなく恥ずかしくなる時があるんです。存在していること、そのことが如何にも恥ずかしく（略）
「オッ！いなくなった！」とか「あのひと近頃どーしたんでしょう」とかも、ひとに意識させない、まるで最初から存在していなかったような、そんないなくなりかたを望むんです。

（「ひるめし」樹木希林 より）
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◎Contents
第1特集／洋食屋
　新洋食考 …… 椎名誠
　洋食考 …… 山本嘉次郎
　「洋食考」解説 …… 大河内昭爾
　なつかしのポークカツレツ …… 古波蔵保好
　洋食ききかじり …… 宮尾しげる
　下町の洋食屋 …… 高橋邦太郎
　山の手の洋食屋 …… 斎藤茂太
　大阪の洋食屋 …… 藤本義一
　神戸の洋食屋 …… 青山光二
　早稲田界隈の昼めし …… 巌谷大四
　編集長対談10「日本の洋食」
　…… 金田一春彦/大河内昭爾
　食いしん坊 …… 小島政二郎
　洋食屋らしい洋食屋 …… 吉村昭
第2特集／私の好きな店
　セダン［フランス料理/東京］ …… 小沢昭一
　SABATINI［イタリア料理/東京］ …… サトウサンペイ
　ラ・カンパネラ［スペイン料理/東京］ …… 久里洋二
　はし本［和食/東京］ …… 檀ふみ
　THE CELLAR［パブ/東京］ …… 嵐山光三郎
　ふくろうの酒場［居酒屋/博多］ …… 宮永真弓
　飄禄玉［鯉料理/神奈川］ …… 宮永真弓
　南蛮1934［フランス料理/東京］ …… 赤堀千恵美
　浜栖鳳［天麩羅/東京］ …… 岡本利雄
　にしむら［コーヒー/神戸］ …… 楢原一郎
　山の上［てんぷらと和食/東京］ …… 江橋節郎
　私の通う店 …… 興津要
　くいしん坊通信・私の好きな店特集
▶︎あさめし …… 高橋健二
▶︎ひるめし …… 樹木希林
▶︎ばんめし …… 草野心平
信州の手作り味噌と手作りジャム …… 細井冨貴子
寒梅の爺さま …… 佐藤隆介
「すしについて/本朝食鑑を背景に24 …… 島田勇雄
雑砕 …… 楊萬里
洋食や・だいどこ噺 …… 茂出木雅章
鰊と毛ガニ、またも歌 …… 小檜山博
映画の中の食べもの 13 …… 淀川長治
既刊案内（バックナンバー1号より29号）
味覚の本棚　ほか

絶版または版元品切れ
ソフトカバー
□publisher：みき書房
□date of issue：1982年
□size：21x15cm
□page：132
□condition：経年なり・普通　表紙ヤケスレ汚れ傷み 開き癖折れ目

» 旅・料理
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