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蝶(皆川博子 著)
1972年にデビューして以来、ミステリー、幻想小説、歴史小説、時代小説など、ジャンルを越境した傑作群を半世紀にわたって生み出し続けてきた、孤高の作家・皆川博子。
ロオド・ダンセイニ、ハイネ、薄田泣菫らの詩、俳句から触発されて書かれたもので、いずれの作品にも、詩篇の一節が象嵌のように埋め込まれている。
インパール戦線から帰還した男が抱え込む「虚無」を精緻に描きだす表題作「蝶」ほか、夢幻と狂気が交差する八篇を収録した戦慄の短編集。2005年に刊行された単行本の文庫化。
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密着した銃把と彼の手の間に、とぎれることのない彼の時間が、血の脈のように流れていた。
照準を、氷原の果の遥かな一点にあわせ、引金を引いた。
もう一発残っているな、と思った。
銃口をこめかみにあててみた。皮膚がちりちりとした。
次の世もまた次の世も黒揚羽 今井豊
(「蝶」より)
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◎Contents
空の色さえ
蝶
艀
想ひ出すなよ
妙に清らの
龍騎兵は近づけり
幻燈
遺し文
解説:齋藤愼爾
装幀:柳川貴代
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:文春文庫
□date of issue:2008年 初版
□size:15.2x10.5cm
□page:221
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
ロオド・ダンセイニ、ハイネ、薄田泣菫らの詩、俳句から触発されて書かれたもので、いずれの作品にも、詩篇の一節が象嵌のように埋め込まれている。
インパール戦線から帰還した男が抱え込む「虚無」を精緻に描きだす表題作「蝶」ほか、夢幻と狂気が交差する八篇を収録した戦慄の短編集。2005年に刊行された単行本の文庫化。
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密着した銃把と彼の手の間に、とぎれることのない彼の時間が、血の脈のように流れていた。
照準を、氷原の果の遥かな一点にあわせ、引金を引いた。
もう一発残っているな、と思った。
銃口をこめかみにあててみた。皮膚がちりちりとした。
次の世もまた次の世も黒揚羽 今井豊
(「蝶」より)
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◎Contents
空の色さえ
蝶
艀
想ひ出すなよ
妙に清らの
龍騎兵は近づけり
幻燈
遺し文
解説:齋藤愼爾
装幀:柳川貴代
絶版または版元品切れ
ソフトカバー ダストカバー
□publisher:文春文庫
□date of issue:2008年 初版
□size:15.2x10.5cm
□page:221
□condition:経年なり・普通 カバースレ汚れ傷み
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