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花のいのち ー 小説・林芙美子(有吉佐和子 著)★函なし・裸本
1958年に雑誌『婦人公論』に連載された、林芙美子を主人公とした評伝小説。文庫化されていない、有吉佐和子の初期作品。
あとがきによると、『婦人公論』から執筆を提案された企画で、当初は「仮に書いたとしても林芙美子女子の「放浪記」に勝るものが書けるとは考えられない」と思われて気が進まなかったが、資料を読み込むうちに、林芙美子という人間の生きるエネルギーに引きつけられ「この仕事に情熱を覚え始めた」と記されている。
装幀、町春草。挿画、阿部龍。
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晩春の午後、雑司ガ谷の墓地をさまよう一人の少女があった。色白で小柄で、桃割れに大きく結った頭が重そうに見えるほど背が低い。粗末な着物の八ツ口に、それが癖なのだろうか左の手を突っ込んでいる。右手は読みさしの手紙をむざと握りしめて、時折それが痙攣している。思うさま泣いたあとなのか、瞼が赤く腫れ上がっている。だが彼女の眼ばかりは、夢を見ているように柔和に煙っていた。
(本文冒頭より)
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絶版または版元品切れ
ハードカバー クロス装
□publisher:中央公論社
□date of issue:1958年 初版
□size:19.4x13.5cm
□page:200
□condition:経年なり・可 表紙少汚れ 小口茶シミ
★函なし・裸本
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
あとがきによると、『婦人公論』から執筆を提案された企画で、当初は「仮に書いたとしても林芙美子女子の「放浪記」に勝るものが書けるとは考えられない」と思われて気が進まなかったが、資料を読み込むうちに、林芙美子という人間の生きるエネルギーに引きつけられ「この仕事に情熱を覚え始めた」と記されている。
装幀、町春草。挿画、阿部龍。
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晩春の午後、雑司ガ谷の墓地をさまよう一人の少女があった。色白で小柄で、桃割れに大きく結った頭が重そうに見えるほど背が低い。粗末な着物の八ツ口に、それが癖なのだろうか左の手を突っ込んでいる。右手は読みさしの手紙をむざと握りしめて、時折それが痙攣している。思うさま泣いたあとなのか、瞼が赤く腫れ上がっている。だが彼女の眼ばかりは、夢を見ているように柔和に煙っていた。
(本文冒頭より)
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絶版または版元品切れ
ハードカバー クロス装
□publisher:中央公論社
□date of issue:1958年 初版
□size:19.4x13.5cm
□page:200
□condition:経年なり・可 表紙少汚れ 小口茶シミ
★函なし・裸本
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