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彼もまた神の愛でし子か 洲之内徹の生涯(大原富枝 著)
学生時代に左翼活動で検挙され、転向して中国で軍の諜報員として従事。戦後、小説に手を染め、三たび芥川賞候補になるも受賞を逸し、銀座「現代画廊」の経営者に……。
文学的香気あふれる美術随想で多くの読者を魅了した洲之内徹の人生の流転を、旧友でもある小説家・大原富江が愛惜をこめて描いた入魂の評伝。1989年に刊行された単行本の文庫化。
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彼の生涯は、彼自身が何度となく文章にも書き、口にもしていたように、「どうしようもない」ことに流されてゆくところで成り立っていた。前にも書いているように、その「どうしようもない」ところで彼は、文学からずるずると退いてゆき、恋愛では何人かの女たちに罪を重ねていった。
しかし、ここに絵というものがあった。相手が絵という、女によく似て美しく個性に充ちて存在するものである場合、彼のこの「どうしようもなく」恣意に流されてゆくところで、何のさし障りもなく、長い蜜月がつづくのであった。
(本文より)
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解説、関川夏央。
ソフトカバー ダストカバー 帯あり
□publisher:ウェッジ文庫
□date of issue:2008年 初版
□size:15.2x10.6cm
□page:242
□condition:経年なり・良好
» 評伝・ノンフィクション
https://narda.thebase.in/categories/1326666
文学的香気あふれる美術随想で多くの読者を魅了した洲之内徹の人生の流転を、旧友でもある小説家・大原富江が愛惜をこめて描いた入魂の評伝。1989年に刊行された単行本の文庫化。
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彼の生涯は、彼自身が何度となく文章にも書き、口にもしていたように、「どうしようもない」ことに流されてゆくところで成り立っていた。前にも書いているように、その「どうしようもない」ところで彼は、文学からずるずると退いてゆき、恋愛では何人かの女たちに罪を重ねていった。
しかし、ここに絵というものがあった。相手が絵という、女によく似て美しく個性に充ちて存在するものである場合、彼のこの「どうしようもなく」恣意に流されてゆくところで、何のさし障りもなく、長い蜜月がつづくのであった。
(本文より)
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解説、関川夏央。
ソフトカバー ダストカバー 帯あり
□publisher:ウェッジ文庫
□date of issue:2008年 初版
□size:15.2x10.6cm
□page:242
□condition:経年なり・良好
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