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諧謔小説「新婚風景」(野口亮 著、小山しげる 挿絵)
大正から昭和初期にかけて、「諧謔小説」と銘打ったユーモア小説が数多く出版され人気を呼んだ。本書は、中村書店という出版社が刊行していた諧謔小説シリーズの一冊。
出版社に勤める同僚で、隣同士で新婚家庭を営む「岸田君」夫妻と「花村君」夫妻が巻き起こす、てんやわんやの物語。随所に、当時の流行風俗が織り込まれ、挿絵がとぼけた味わいを醸し出している。
主人公の設定に、郊外の「文化住宅」に住む「サラリーマン」が進歩的だと思われていた、当時の世相が感じられる。
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銀座へんをぶらつきまはつて、手当り次第カフエーにとびこみ、やつと名前をおぼえられた女給から、
『岸田さんは近頃とてもご活躍ね』
なんて御座なりの愛嬌を振りまかれて喜んでゐる。そして、夜十一時、十二時でなくては帰つて来ない。(略)
『あゝ好い氣持ちに酔つちゃつた。今晩は徹底的にメートルをあげるとしよう』
『よし、大いに遣らう』
口先で豪気なことをいつても、その實岸田君にしろ、花村君にしろ、内心妻のことが気がかりで仕様がないのである。
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◎Contents
岸田君と花村君
ああ恨めしきかなカステラよ
夫婦哲學第三項
兵の用法
嘘の不名人
夢枕
ヒスの傾向
今様ハンガクの悲戀
また失敗
禿と禿
變な紳士
出所不明の三十圓
幻影の悲哀
禿頭病の研究家
とんだ結末
指一本
千客萬來
父ちやんポツポ
絶版または版元品切れ
ハードカバー
□publisher:中村書店
□date of issue:1930年 初版
□size:19x13.5cm
□page:302
□condition:経年なり・可 表紙ヤケシミ汚れ傷み強
経年シミ 蔵書印 表裏見返しページにテープ跡
ページの角が削れたような傷みあり(写真9枚目)
» 小説
https://narda.thebase.in/categories/1326662
出版社に勤める同僚で、隣同士で新婚家庭を営む「岸田君」夫妻と「花村君」夫妻が巻き起こす、てんやわんやの物語。随所に、当時の流行風俗が織り込まれ、挿絵がとぼけた味わいを醸し出している。
主人公の設定に、郊外の「文化住宅」に住む「サラリーマン」が進歩的だと思われていた、当時の世相が感じられる。
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銀座へんをぶらつきまはつて、手当り次第カフエーにとびこみ、やつと名前をおぼえられた女給から、
『岸田さんは近頃とてもご活躍ね』
なんて御座なりの愛嬌を振りまかれて喜んでゐる。そして、夜十一時、十二時でなくては帰つて来ない。(略)
『あゝ好い氣持ちに酔つちゃつた。今晩は徹底的にメートルをあげるとしよう』
『よし、大いに遣らう』
口先で豪気なことをいつても、その實岸田君にしろ、花村君にしろ、内心妻のことが気がかりで仕様がないのである。
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◎Contents
岸田君と花村君
ああ恨めしきかなカステラよ
夫婦哲學第三項
兵の用法
嘘の不名人
夢枕
ヒスの傾向
今様ハンガクの悲戀
また失敗
禿と禿
變な紳士
出所不明の三十圓
幻影の悲哀
禿頭病の研究家
とんだ結末
指一本
千客萬來
父ちやんポツポ
絶版または版元品切れ
ハードカバー
□publisher:中村書店
□date of issue:1930年 初版
□size:19x13.5cm
□page:302
□condition:経年なり・可 表紙ヤケシミ汚れ傷み強
経年シミ 蔵書印 表裏見返しページにテープ跡
ページの角が削れたような傷みあり(写真9枚目)
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